コーヒーで旅する日本/九州編|体裁ではなく、コーヒー屋になった理由の本質を追求し続ける。「珈琲花坂」

九州ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

グラインダーで挽く前に再度ハンドピック。時間をかけた丁寧な仕事が「珈琲花坂」らしい

九州編の第74回は福岡市にある「珈琲花坂」。大名エリアと市街中心部に位置するが、店があるのはビル5階となかなか隠れ家的な立地。しかも店は「ペトロールブルー」というバーの営業していない昼の時間帯を利用しており、“間借りの喫茶店”というイメージは強い。店がオープンしたのは2015年6月と、もう丸8年そのスタイルを一貫しているのはなぜか。大名という街では珍しい、落ち着いた空間でゆっくりとコーヒーが楽しめる「珈琲花坂」の魅力に触れてみたい。

ロースター兼オーナーの花坂和英さん

Profile|花坂和英(はなさか・かずひで)
宮崎県高鍋町生まれ。高校卒業後、一度は地元で働き、その後上京。2010年ごろからコーヒーに興味を持ち、手網焙煎を始めたのがコーヒーの入口。然るべきところでコーヒーの技術・知識を学びたいと東京のカフェにて約2年半勤める。奥さんの故郷である福岡に移住し、コーヒー屋を開くことを決意するが、土地勘もないうえ、明確な店のイメージがまだなかったことから、福岡に来て一番好きだったバー「ペトロールブルー」の店主に間借りで営業させてもらえないか相談。快諾してもらい、2015年6月に「珈琲花坂」をオープン。

自身の感性に従って

自作のネルでじっくりと抽出

「珈琲花坂」を訪れたことがある人は、「不思議と居心地がよい」「大名とは思えない時間が流れている感じ」とおぼろげに同店の雰囲気のよさを口にする。その理由はビル5階と人通りが目につかず、隠れ家的な雰囲気であることも考えられるが、店主の花坂和英さんが醸し出す空気感が大きいと感じる。

花坂さんは普段から多くを語ることはなく、いつも黙々とコーヒーを淹れている印象。もちろんこちらが話題をふれば、にこやかに話してくれるし、決して愛想が悪いというわけではない。ただどこか空気のような主張しない存在感で、「珈琲花坂」で過ごす時間の邪魔をせず、居心地のよい空間を作り出している。それは花坂さんの人となりによるものだと感じる。

言葉数は多くないが、穏やかな人柄がにじみ出ている

もともと宮崎県の海沿いの小さな町で生まれ育ち、高校卒業後しばらくして、だれも知っている人がいない街で暮らしてみたいと上京。大学進学などが理由で東京に出たわけではなく、自分の意志で故郷を離れ、見ず知らずの街で働き始めた花坂さん。東京ではもともと好きだった音楽や映画といったサブカルチャーの世界に傾倒していったそうだ。そんな中、出合ったコーヒーの世界が花坂さんにはしっくりきた。

花坂さんは20代後半でコーヒーの世界に魅了された

「東京のとあるロースタリーカフェで飲んだコーヒーに感動して、自分もこんなコーヒーを作ってみたいと素直に思いました。それからすぐに手網焙煎を始め、その時点でいつか自分のコーヒー屋を開こうとすでに考えていましたね。決して計画的ではありませんでしたが、まずはカフェでコーヒーの抽出と接客、サービスを学ぶことに。偶然の出会いで入ったその店がよい雰囲気で、そこで2年ちょっと働かせていただきました」と花坂さん。

音楽や映画をテーマにした「ペトロールブルー」の空間に惹かれた

それから奥さんの故郷である福岡に移り住むことになり、「それなら」と花坂さんは自分の店を開くことを現実的に考え始めた。「ただ、福岡は土地勘もないですし、なにより計画的な移住・開業というわけではありませんから、なんの準備もしていなくて。そんなときに出会ったのが、今も間借りさせていただいているバー『ペトロールブルー』でした。映画や音楽が好きだったことから同店の情報は以前から得ていて、福岡に移り住んですぐに訪れてみたんです。一発でこの店の雰囲気に惹かれて、マスターに『昼間使っていない時間にコーヒー屋をやらせてもらえないか』聞いたところ、すんなり快諾いただきまして」と間借り営業を始めた経緯を教えてくれた。

カウンター席に加え、店奥にはソファ席を用意

ちなみにペトロールブルーには間借りで使わせてもらうお願いをした際、まだ3回目の来店だったらしく、マスターも花坂さんのことはほとんど知らない間柄だったそう。それなのに間借りを快諾するとは、よっぽど2人の間に相性のよさみたいなものがあったのだろう。

  1. 1
  2. 2

この記事の画像一覧(全13枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

夏休み特集2023

夏休み特集 2024

ウォーカー編集部がおすすめする、この夏の楽しみ方を紹介。夏休みイベント&おでかけスポット情報が盛りだくさん!

CHECK!夏祭り 2024の開催情報はこちら

ページ上部へ戻る