コーヒーで旅する日本/九州編|開業から丸20年、変わらないからこその進化を「手音」に見る

東京ウォーカー(全国版)

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

もともと洋裁店だった場所を利用。レンガ造りがクラシカルな雰囲気だ

九州編の第75回は福岡市にある「手音」。開業は2003年(平成15年)5月と、今年でちょうど丸20年を経たところだ。南区大橋と暮らす街のイメージがあるエリアで、かつ店があるのは大通りから一本裏手に入った路地。決して目立つ場所ではないし、店構えも暖簾が掲げられているぐらいで主張もしない。ただ、福岡のコーヒー好きの間では知られた店で、最近では韓国や台湾など海外からの旅行者がコーヒーを目当てに来店することも多い。その大きな理由は開業した20年前から変わらず、ネルドリップ、手廻し焙煎を一貫し、あえて変わらない普遍的なコーヒーを目指してきたから。時に時代に合わせて変わることが良しとされる現代で、“変わらない”ことを選んだ「手音」の魅力に迫る。

マスターの村上崇さん

Profile|村上崇(むらかみ・たかし)
生まれは福岡だが、父親の仕事上、幼少期は愛媛県や長崎県などを転々とする。佐賀県の大学に進学したころから喫茶店に通うようになり、コーヒーに興味を抱く。もともとは教員を志していたが、コーヒーの世界に強く惹かれ、一生の仕事にすると心に決めて珈琲美美の門を叩く。5年弱、珈琲美美で修業し、2003年5月に「手音」開業。

静寂の中に流れる穏やかな時間

【写真】コーヒーの焙煎による煙に燻され、壁に独特な模様が浮かび上がる

「手音」といえば福岡を代表するコーヒー店・珈琲美美で学んだマスターがやっている店、ネルドリップで淹れるコーヒーがおいしいというイメージがまず頭に浮かぶ。そして、BGMが流れていない無音の空間もあってか、どこか凛とした雰囲気で、「コーヒーを飲みに行く」という明確な目的を持って訪れる店という印象もある。ただ、それはあくまでイメージであって、地元に住み、長く暮らしている常連さんが、ふらり豆を買いに訪れると、マスターの村上崇さんはにこやかに、穏やかに応じた。常連さんもコーヒーとは一切関係のない世間話をしながら、楽しそうだ。勝手に「手音」をやや敷居が高いコーヒー屋と思っていたが、そんなことはない。

柔らかな光に包まれた静かな空間も心地よい

「手音」が開業したのは2003年5月。ちょうど今年で丸20年が経った。村上さんはなぜコーヒーの世界に飛び込んだのか。

「もともとは教員志望で、佐賀の大学に通っていました。その当時、自転車関連の部活に入り、仲間とワイワイ過ごすのも楽しかったんですが、ある時ふと、自分が知らない世界を見てみたいと考えるようになって。それで佐賀市内の喫茶店に通うようになりました。普段は暮らす世界が違う人々が集い、同じ時間を共有している喫茶店という空間がシンプルに楽しくて。それからは積極的にコーヒー屋さんに足を運ぶようになりました」と村上さん。

珈琲美美との出会いもその中の1つだったそうだ。「その当時、福岡に一月に一回ぐらい訪れていたんですが、その際は必ず珈琲美美さんに通っていました。マスターの仕事の美しさ、お客が静かにコーヒーだけを楽しむという独特な空間がとても好きで。コーヒーを一生の仕事に生きていきたいと考えた時、コーヒーの知識、技術を磨くなら珈琲美美さんしかないと思い、マスターの森光さんに働かせてもらいたいとお願いしました。これが私のコーヒーの入口です」と村上さんは当時を振り返る。

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