コーヒーで旅する日本/九州編|シンプルにおいしさを伝え、広めてきただけ。これからもそれは同じ。「自家焙煎珈琲専門店 伽楽」

東京ウォーカー(全国版)

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

店頭に置かれたロバの置物は開業時からあるもの。増田繁紀さんが店のシンボルにと買ったものだそうだ

九州編の第82回は福岡市高宮にある「自家焙煎珈琲専門店 伽楽」。1988年(昭和63年)に高宮通り沿いの小さな店舗で開業し、ちょうど10年を機に現在の高架下に移転。現在はカフェスペースを設けているが、10年ほど前までは豆売り専門。一般家庭への販売、オフィスなどから定期的に注文を受けてきたほか、ボンラパスといったスーパーにも卸を行うなど、福岡においてコーヒーの裾野を広げてきた独立系コーヒーショップの先駆的な存在だ。

2代目の前川周三さんは「以前よりも種類は減らした方ですよ」と話すが、豆は12種のブレンドを含めて30種以上と豊富。それだけの種類のコーヒーを置いているのは、一つひとつのコーヒーにファンがいるということ。コーヒーラバーを自分たちのやり方、スタイルで増やしてきた「伽楽」の過去、今、そして目指す未来とは。

左から創業者の増田繁紀さん、2代目の前川周三さん、増田明美さん

Profile|増田繁紀(ますだ・しげき)さん、前川周三(まえかわ・しゅうぞう)さん、増田明美(ますだ・あけみ)さん
もともとコーヒーの卸を主体とした福岡の商社に勤めていた増田繁紀さんが、1988年(昭和63年)、親戚と共に「自家焙煎珈琲専門店 伽楽」を創業。奥さんの明美さんも一緒に店を切り盛りしてきた。最初は高宮通り沿いで営業し、西鉄天神大牟田線高宮駅そばの高架下に移転。移転当初も以前の店同様、豆売り専門だったが、常連からの要望もありカフェスペースを新設。今に至る。

家庭で気軽にコーヒーを

コンスタントに月に1トン程度の生豆を焙煎している

「伽楽」はレコメンドしてくれた Coffee Beans GO STRAIGHT のロースター・山領さんが口にする「福岡においてコーヒーの裾野を広げてこられた店」という説明に納得の自家焙煎店。創業33年目という歴史の長さに加え、店頭に並ぶコーヒー豆の種類の豊富さ、さらに一部スーパーでも購入できるという間口の広さ。こんなスタイルを開業時から続けてきたのがその理由だ。

豆を購入するついでにカフェスペースでコーヒーを楽しむ常連が多い

同店がオープンした昭和後期、“自家焙煎コーヒー”というと、喫茶店で嗜むようなこだわりの飲み物というイメージがあった。ゆえに自宅でコーヒーを点てて飲むのは相当なコーヒー好きで、知識もある程度持っていないといけないという敷居の高さがあったことは否めない。つまり自家焙煎コーヒー店で豆を買うのは少し勇気が必要だったような時代だ。

フジローヤルの半熱風式の焙煎機を使用。3キロと10キロの2台がある

今も現役で焙煎士として店に立つ初代の増田繁紀さんは「そういう時代だったから、逆に自家焙煎コーヒーがこれから家庭に広く普及していくと思ったんです。単純ですがそれが開業理由」と話し、さらにこう続ける。「“こだわりの自家焙煎”みたいな売り方をしているから敬遠されちゃうわけで、もっとカジュアルに『おいしいコーヒーですよ。家でも簡単に淹れられるんですよ。もちろん価格もお手ごろです』って伝えていけばいいと開業したときから考えていて、それは今も変わりません。スーパーのボンラパスさんに豆を卸すようになったのもご近所さんだったことと、ちょっとしたご縁があったから。私たちとしては当店のことを知ってもらうきっかけになりますし、商品を置かせていただいたのは幸運でした」と朗らかに笑う。

そんな明るく、あっけらかんとした増田繁紀さん、明美さん夫妻の人柄もあり、小売りも順調に伸ばしていき、着実にコーヒーラバーを増やしていった。

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