コーヒーで旅する日本/九州編|シンプルにおいしさを伝え、広めてきただけ。これからもそれは同じ。「自家焙煎珈琲専門店 伽楽」
東京ウォーカー(全国版)
手ごろな価格を追求

そうやって多くのファンがついたことで、豆の種類もそれに比例し増えていき、多いときはブレンドを含めて40種以上の豆を用意していたそうだ。ピーク時よりも数は減らしたとはいえ、現在店頭に並ぶ豆の種類は30種以上。ここまで多くのコーヒーを扱っている店はなかなかないだろう。
なによりうれしいのが、価格がリーズナブルなことだ。2023年10月現在、屋号を冠した伽楽ブレンドは100グラム432円、モカブレンド、ライトブレンド、ハードブレンドは100グラム454円、深煎りでコク重視のクラシカルブレンドは100グラム486円など、ブレンドに関しては500円アンダーが大半。そこには増田さん夫妻、2代目の前川周三さんの思いが色濃く反映されている。

前川さんは「『伽楽』の漢字が“珈”ではなく“伽”なのは、『コーヒーは王様の飲み物じゃなくて、庶民が日常的に楽しむもの』という思いを込めています。ですから“いつものおいしいコーヒーを”という観点から品質は下げることなく、価格はできる限り上げないよう努力しています」と説明。だからこそ同店には30年近く通い続ける常連がたくさんいるんだと実感した。

大切なのは継続していくこと

生豆は昔から付き合いのある3つの商社から仕入れられるのも「伽楽」の強み。どの商社も実績と信頼がある老舗なので、扱っている産地・農園の種類が多彩で、仕入れられる生豆の選択肢が多いというわけだ。
春と秋の年2回行っている頒布会は、まさにそんな強みを生かした特別なコーヒーを購入できるチャンス。毎回、この頒布会を楽しみにしている常連も多いという。

「先代が築いてきたお客さまの日常に寄り添うスタイルは変えることなく、これからもおいしいコーヒーをできるだけお求めやすい価格で提供できるよう努力していくだけです。お客さまのために私たちができること、していかなければならないのは継続することだと考えています」と前川さん。トレンドにとらわれることなく、客が求める味わいを追求し続けてきた「伽楽」らしい未来へのビジョンだと感じた。

増田さん夫妻、前川さんレコメンドのコーヒーショップは「Morrow珈琲」
「『Morrow珈琲』の店主、三宅さんはとにかく人柄がいい。もともとサラリーマンで、週末の休みを使って当店でコーヒー店で働く経験をされていたのですが、そのままうちで働いてほしかったくらい(笑)。今や押しも押されぬ小郡市の人気コーヒーショップですよ」(増田さん)
【自家焙煎珈琲専門店 伽楽のコーヒーデータ】
●焙煎機/富士珈機半熱風式10キロ、3キロ
●抽出/ハンドドリップ(HARIO V60)
●焙煎度合い/浅煎り〜極深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム432円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)
※新型コロナウイルス感染症対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。
※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
同じまとめの記事をもっと読む
この記事の画像一覧(全11枚)
キーワード
- カテゴリ:
- タグ:
- 地域名:
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介