コーヒーで旅する日本/九州編|豆の種類は60種以上、なかには100グラム400円アンダーも。佐賀市の「いづみや珈琲」は地域に愛されてまもなく70年
東京ウォーカー(全国版)
直火式焙煎機にこだわり続けて
「いづみや珈琲」にある焙煎機は、富士珈機12キロ、フジローヤル15キロ、ラッキーコーヒーマシン10キロ、15キロの計4台。もちろん4台いずれも現役で、しかもすべて直火式だ。昨今半熱風式、熱風式を導入する店が多い中、なぜ一貫して直火式にこだわっているのか。「私が考える焙煎とは、いかに均等に生豆に含まれた水分を外に追い出すか。要は生豆の芯まで火を通す必要があるんですね。そう考えると直火が最も適しているという答えにたどり着きました。もちろん直火なので、ひとつ間違えたら焦がす可能性は高くなる。ですから火力、排気ダンパーの微調整は欠かせません。そして最終的な判断は目と鼻、そして耳から得る情報だけが頼りです」と話す前山さん。
実際焙煎している様子を見させてもらうと、温度計など計測機器に頼るだけじゃなく、窯内の豆の状態をじっくりと見て、香りを嗅ぎ、シャカシャカと回る豆の音、はぜる音に耳を澄まし、煎り止めのタイミングを見計らっていた。これはまさに職人ならではの焙煎の技術だと感じた。
新たに開くカフェにも期待
まもなく70歳を迎える前山さんだが、その前向きさとバイタリティはすごい。今まで豆売り一筋で営んできたが、このタイミングでカフェの新規出店にチャレンジするのだという。「佐賀市の久保泉町にできる店舗なので屋号は『いづみや珈琲 久保泉店』とする予定。今年12月のオープンを目指して準備を進めています。ショコラティエの方にご協力いただくコーヒーとチョコレートを柱としたカフェで、焙煎所も兼ねたスタイルです。今まで豆売りだけしかやってこなかったので、どんな展開になるか予想はできませんが、当店のコーヒーの味を新たな層に知っていただけるような場所になれたらうれしい」と前山さん。70歳で新たなステージに挑戦することをさらりと話す前山さんの姿を見ていると、「いづみや珈琲」がますますコーヒーラバーの裾野を広げていく予感しかない。
前山さんレコメンドのコーヒーショップは「香椎参道Nanの木」
「福岡市東区にある『香椎参道Nanの木』さんは、地域の暮らしに根付くことなど、コーヒーに対する考え方が同じだと勝手にシンパシーを感じています。創業者で今は会長となっている芹口さんは、私にとってコーヒー業界において唯一話が合う人。福岡市内において自家焙煎店としては古株ですし、なによりコーヒーがある暮らしを広めた一店だと思います」(前山さん)
【いづみや珈琲のコーヒーデータ】
●焙煎機/富士珈機直火式12キロ、フジローヤル直火式15キロ、ラッキーコーヒーマシン10キロ、15キロ
●抽出/なし
●焙煎度合い/浅煎り〜極深煎り
●テイクアウト/なし
●豆の販売/100グラム351円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)
※新型コロナウイルス感染症対策の実施については個人・事業者の判断が基本となります。
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