コーヒーで旅する日本/九州編|組み合わせの妙を「Peace Ave.」に見る。バーテンダーならではの多様性の表現法
東京ウォーカー(全国版)
バーテンダーの思考でコーヒーはもっとおいしく

「Peace Ave.」がユニークなのはバーではあるが、ハンドドリップコーヒー(880円〜)、アメリカーノ(660円)、カフェラテ(770円)などを用意し、コーヒーだけの利用も大歓迎なところ。チャージ料(550円)はかかるものの、普通に喫茶感覚で利用できるスタイルをとっている。

「ハンドドリップコーヒー880円〜と、一般的なカフェや喫茶と比べると若干高めの価格設定にしていますが、これにも少し意味があります。この価格をつけることができるのは客単価がカフェや喫茶よりも高いバーならではで、それによって高単価の豆を贅沢に使うことができます。当然それによってお客さまに対して新しい味わい体験を提供することができる。このような理由もあって、バーがコーヒーにこだわりを持つことは非常にメリットが大きいと感じています」と石井さん。なるほど。確かにそれはあるかもしれない。

実際、「Peace Ave.」ではアナエロッビックファーメンテーション、ダブルファーメンテーション、カーボニックマセレーション、イーストファーメンテーションなど、生産処理にひと手間かけて独特なフレーバーを持たせた豆を積極的に用いるなど、一口目から驚かされる味わいを体験を大切にしている。
さらにレコメンドしてくれたLittle O coffee&donutの小川さんも話していたように、石井さんは今、独自のロースタリーブランドを立ち上げるために動いている。

「まもなくLittle O coffee&donutの小川くんと一緒に、『BLENDA』というロースタリーブランドを立ち上げます。ブランド名通り、ブレンドに特化しようと考えていて、商品名からパッと味わいをイメージできるような商品展開にしていこうと小川くんと話しています。なんとなくブレンドコーヒーって、『とりあえずブレンド』『いわゆる普通のコーヒーでしょ』のようなイメージで軽く見られがちだなーと感じていて。そうじゃなく複数の豆を混ぜることで『こんな味わいになるんだ!』『初めて口にする味わい』のように驚きを与えるものにしていきたい。そのために仕入れ値は上がりますが、変わった生産処理を施して味わいに複雑味を持たせた生豆も積極的に使っていこうと考えています。極論、フルーツなどと一緒にチェリーを漬け込んでフレーバーをコーヒー豆に移すインフューズドコーヒーでもおいしければ、僕的にはありだと思っています」

この柔軟な考え方は、ベースとなるお酒にさまざまな副材料を混ぜて、おいしい一杯を生み出すバーテンダーならではだろう。コーヒーの多様性を自身が今まで培ってきた経験を武器に発信・提供する石井さんならではのスタイル。2025年1月には『BLENDA』から初のブレンドをリリース予定だ。これから石井さんと小川さんの2人でアイデアを出し合い、どんなブレンドを展開していくか期待が膨らむ。
石井さんレコメンドのコーヒーショップは「ASLAN Coffee Factory」
「北九州市小倉南区にある『ASLAN Coffee Factory』さん。オープンして数年経ちますが、ここ1、2年でめちゃくちゃおもしろい豆をラインナップし始めて、これからますます注目を集めるロースタリーだと感じています。全国的に見ても珍しい生豆を、仕入れ値は高くても扱うなど、チャレンジングな姿勢に共感しています」(石井さん)
【Peace Ave.のコーヒーデータ】
●焙煎機/Ailio BULLET
●抽出/エスプレッソマシン(VIBIEMME)、ハンドドリップ(HARIO スイッチ)
●焙煎度合い/浅煎り〜中煎り
●テイクアウト/なし
●豆の販売/100グラム1350円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
同じまとめの記事をもっと読む
この記事の画像一覧(全11枚)
キーワード
- カテゴリ:
- タグ:
- 地域名:
テーマWalker
テーマ別特集をチェック
季節特集
季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介
おでかけ特集
今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け
キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介