コアラのマーチ35周年、担当者語る長寿秘話「ラッキーコアラはレアじゃなかった」
東京ウォーカー(全国版)
食べるだけじゃない、“レアを当てる”という価値感が時代にフィットした
江幡さん「私たちもコアラというキャラクターにブランドの価値があるということは、お客さまに教えてもらいました。それから、絵柄募集や選抜総選挙など、キャラクターを生かしたキャンペーンを多く行うようになりました。今のコアラのマーチがあるのは、お客さまのおかげだと言えますね」。
元来、お菓子はおやつとして食べるだけのもので、おいしさや値段が価値基準だった。しかし、“ラッキーコアラ”のブームを受けて消費者の中に「レアバージョンを当てたい」という新しい購入動機が生まれた。そして、ネットやSNSの隆盛という時代の潮流もそうした価値観の変化の追い風となった。消費者が発信力を持ったことで、「レアバージョンが当たった! 見て見て!」といった具合に承認欲求を満たしたい消費者マインドにうまくフィットしたのかもしれない。

卒業していったコアラたちはオーストラリアの森へ帰る
江幡さん「『コアラのマーチ』は、常にお客さまの声や時代の変化を敏感に取り入れ、新しい試みを続けるようにしています。最近では、ラグビーワールドカップに合わせて、『ラグビートライコアラ』を開発。ほかにも『AIコアラ』や『ドローンコアラ』などトレンドを意識した絵柄も採用しました。逆に、ポケベルを持ったコアラや、ワイヤレス時代なのにケーブルの付いたイヤホンを装着しているコアラには、オーストラリアの森に帰ってもらいました」。
基本的に絵柄はコアラ型のビスケットの形に合わせて顔や体、手足をデザインしたものが多い。しかし、近年はビスケット全体をキャンバスのように使い、余白を生かしたものや背景までプリントされたものなども登場しバリエーションに幅が生まれている。江幡さんがお気に入りだという「子どもコアラ」は、ビスケット表面の中央に小さなコアラが描かれていて、大部分は余白になっている。
江幡さん「絵柄が出る確率はすべて一緒なので、ぜひ自分だけのお気に入りを見つけてほしいですね」。


愛され続ける理由は、時代を取り入れる柔軟な姿勢
過去発売した限定フレーバーにも、そうしたチャレンジの軌跡を見ることができる。夏祭りをイメージした「わたあめ味」や個性的な「メロンクリームソーダ味」、フレーバーを隠し、特設サイトの謎解きストーリーをクリアすることで味が確認できる「なぞのコアラのマーチ」など、ユニークな味や斬新な仕掛けで話題を呼んだものも多い。


キャンペーンも同様で、全国に逃げ出したマーチくんたちを、さまざまなヒントを手がかりに探し出す「7匹のコアラを探せ!キャンペーン」(2013年実施)や、今回の発売35周年を記念した「コアラのマーチ絵柄募集キャンペーン」などでも注目を集めている。
江幡さん「ほかにも、海外限定絵柄の展開や、ARアプリと連動して英語単語の勉強ができる『えいごのコアラのマーチ』など、さまざまな取り組みを行ってきました。そうした挑戦の積み重ねが今につながっています」。

口コミを公式として取り入れ、“ラッキーコアラ”として打ち出した判断や、消費者の声、トレンドに向き合いながら柔軟に変化とチャレンジを続けるブランドの姿勢こそが、「コアラのマーチ」が35年もの長きにわたって愛され続けている理由なのかもしれない。
取材・文/平井あゆみ
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