コアラのマーチ35周年、担当者語る長寿秘話「ラッキーコアラはレアじゃなかった」

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

「超ひもQ」、「チョコフレーク」、「キスミント」……。昨今、さまざまなロングセラーのお菓子が終売となり、店頭から姿を消している。そんな中で、株式会社ロッテを代表するチョコ菓子のひとつ「コアラのマーチ」は今年35周年を迎えた。特徴的な六角形のパッケージにキュートなコアラの絵柄。商品としての完成度の高さは誰もが知るところだが、「コアラのマーチ」が“ラッキーお菓子”の先駆けであることはあまり知られていない。今回は、“ラッキーお菓子”誕生のきっかけをポイントに、「コアラのマーチ」の歴史を株式会社ロッテで同商品を担当する江幡辰也さんに教えてもらった。

季節に合ったフレーバーなども続々と開発されている「コアラのマーチ」


コアラ初来日に合わせて開発された「コアラのマーチ」


「コアラのマーチ」が発売したのは1984年3月。ちょうど同年、東京の多摩動物公園、名古屋の東山動植物園、鹿児島の平川動物公園に、オーストラリアからコアラが初来日するというタイミングだった。

江幡さん「弊社はもともと、1980年代初頭に空洞型ビスケットにチョコレートを注入する技術を開発し、商品化を進めていました。そんな折にコアラ来日のニュースを聞いて、モチーフをコアラにすることに決めたんです。パンダ初来日時のブームも記憶にあり、コアラも盛り上がるだろうと踏んだわけです」。

そこから急ピッチで、コアラの絵柄をプリントしたコアラ型のビスケットと、ユーカリの木をモチーフにした六角形のパッケージを開発。この斬新な形の箱は、画一的なパッケージが多かった当時、店頭で大いに目を引いたという。また、「コアラのマーチ」という名前も、コアラ初来日に由来している。

江幡さん「体毛が灰色で1日のほとんどを寝て過ごし、動きの少ないコアラですが、ネーミングは『コアラが楽しくマーチングバンドを組んで、日本にやってくる』というイメージから付けられました。そして名前に合わせて、全12種の絵柄の中で約半数は太鼓やラッパなどの楽器を演奏しているものが採用されたんです」。同社の狙いは的中し、パンダブームに次ぐコアラブームが到来し、発売後すぐに人気は上昇したという。さらに、その人気を確固たるものにしたのが、“ラッキーお菓子”=“ラッキーコアラ”の誕生である。

【貴重写真】発売当時のコアラ12種、現在では見ることができない幻の絵柄も


「コアラのマーチ」発売当時(1984年)の初代パッケージ


ラッキーコアラ誕生の秘密。きっかけは消費者の“勘違い”


そもそも“ラッキーお菓子”とは、「アポロ」や「ミルキー」「ハッピーターン」などレアバージョンが存在するお菓子のこと。「コアラのマーチ」の「まゆ毛コアラ」や「盲腸コアラ」といった“ラッキーコアラ”は、それらの先駆けとなった存在なのである。1990年頃、「まゆ毛コアラが出ると幸せになる」という口コミが爆発的に広がり、女子高生を中心に“ラッキーコアラ”ブームが巻き起こった。驚くべきことにそれらは、メーカーが狙ったものではなかったというのだ。

江幡さん「一生懸命ラッパを吹いているときの眉間の“シワ”が、“まゆ毛”と勘違いされたものが『まゆげコアラ』。転んでケガをした傷跡が描かれたコアラが『盲腸コアラ』と呼ばれるようになりました。つまり、お客さまの勘違いがきっかけとなり、“ラッキーコアラ”は生まれたんです。この“ラッキーコアラ”の誕生は、35年の歴史の中でもターニングポイントになった出来事のひとつだと思います」。

当時口コミで広まった「まゆ毛コアラ」。現在では公式での名称も「まゆ毛コアラ」に


傷が盲腸手術の際にできる傷のあとに似ていることから「盲腸コアラ」と勘違いされた


当時、メーカーとしてはコアラの絵柄にはあまり注目しておらず、それぞれに名前を付けてはいなかった。しかし、このブームを受けて「お客さまは絵柄に価値を見出してくれている」という気付きが生まれ、絵柄を増やし、それぞれのコアラに名前を付けるようになっていった。その後、ブームに追従するように他社からはイチゴとチョコが逆になった“逆アポロ”や、包紙に「大吉」と印刷された「ミルキー」などが続々と登場し、“ラッキーお菓子”という価値観は広く浸透していった。

本当はラッキーじゃない!? ラッキーコアラが出る確率は……


ブームになったことで、多くのメーカーが“ラッキーお菓子”というアイデアを取り入れたが、「コアラのマーチ」は、それらと決定的に異なっている点がある。そもそも“ラッキーコアラ”は、決してレアバージョンではないというのだ。

江幡さん「先ほどの話の通り、『まゆ毛コアラ』や『盲腸コアラ』はお客さまの口コミから生まれたもので、今も昔も確率操作などはしていません。各絵柄が出る確率はすべて同じなんです。ただ、1990年頃は約50種ほどでしたが、現在は365種の絵柄があります。そう考えると、現在の方が出る確率は低いので、ラッキーといえるかもしれません(笑)」

ご当地絵柄や期間限定絵柄なども登場し、一時絵柄は500種を超えるまでに増えたという。

しかし、バリエーションが増えたことで「なかなか目当ての絵柄が当たらない」という声が寄せられるようになったことから、2015年に「選抜総選挙」を実施。WEBの一般投票を経て365種に絵柄を絞ったそうだ。

「秋田なまはげコアラ」や「千葉落花生コアラ」など、現在はご当地コアラも多数展開

  1. 1
  2. 2

この記事の画像一覧(全31枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

お花見ガイド2024

お花見ガイド2024

全国1300カ所のお花見スポットの人気ランキングから桜祭りや夜桜ライトアップイベントまで、お花見に役立つ情報が満載!

CHECK!今が見頃の花見スポットはこちら

ページ上部へ戻る