創業10周年のBAKE INC.がECを基軸としたブランド「しろいし洋菓子店」を立ち上げ。リアル店舗重視の戦略から方針転換した理由とは?

東京ウォーカー(全国版)

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架空のパティスリーを設定。没入感をテーマにブランドを構築する

新たな経営戦略をベースに作られたブランドが「しろいし洋菓子店」。“マンション・インディゴ”という架空のマンションの1階に店を構えるパティスリーという設定だ。マンションの住人たちはそれぞれしろいし洋菓子店のスイーツを推しており、そのためしろいし洋菓子店で販売されているスイーツは「501号室 夜更かしのためのクッキー」「201号室 雪の降らない日のブールドネージュ」というように、名前にマンションの部屋番号が付けられている。

【写真】2023年10月にグランドオープンしたECを基軸とした「しろいし洋菓子店」。4段構造のクッキー缶としっとりとした2種類のパウンドケーキをメインにラインナップ 【写真提供=株式会社BAKE】

しろいし洋菓子店で大事にしているのは“没入感”。いかに、ユーザーにしろいし洋菓子店のスイーツにハマってもらうか。そのためのストーリー設定であり、デザインであるという。螺旋を取り入れたパッケージデザイン、クッキー缶の1段目に敷き詰められたクッキーも螺旋を描く。

没入感をテーマに、螺旋模様が採用されたクッキー缶。クッキー自体もスタイリッシュなデザインで、他ブランドのクッキー缶と一線を画す 【撮影=三佐和隆士】

「BAKE INC.の自社工場は北海道札幌市白石区にあるのですが、“しろいし”のネーミングはここからです。北海道産のこだわりの原材料を使用し、丁寧な手仕事、アートなお菓子を体現すべく開発しました。クッキー缶の1段目に入っているクッキーは4種類のフレーバーを組み合わせています。そのため、手作業で詰めているんですよ」

しかし、数あるECサイトからどうやってしろいし洋菓子店を選んでもらうのか。

BAKE INC.の公式LINEから届くマダム ブルーからの手紙。マダム ブルーはしろいし洋菓子店が店を構える“マンション・インディゴ”の大家という設定だ 【撮影=三佐和隆士】

「SNSの活用を積極的に行っています。もともとBAKE INC.で展開している事業ブランドごとにSNSはあるんですが、しろいし洋菓子店でもX(旧Twitter)とInstagramを活用しています。例えば、Xではマンション・インディゴの大家であるマダム ブルーが飼っている猫のアズーリがポストをしているという設定です。BAKE INC.のLINEではマダム ブルーからの手紙という設定で情報を配信しています。しろいし洋菓子店の世界観に浸ってもらうための工夫をしています。LINEはかなり前から活用していたんですが、当時は店舗ごとにアカウントが分かれてしまっていたんです。それを2020年からBAKE INC.INC.として全ブランドのアカウントを統合する動きに入り、会員プログラムとも紐づけられるようになりました」

ブランドがローンチされてから約2カ月。反響のほうはどうだろうか?

「おかげさまで好評で、売り上げも予定の倍ほど上がっています。今のところお客様からのレビューも非常に良いですね。ECを基軸として展開ですから、なかなか直接お客様の反応を見ることができないなかで、プラスなことを書いていただけるというのがうれしいです」

OMO戦略を推し進めるにあたって、課題はまだ多いと山田さんは語る。

「オフラインとオンラインが融合した顧客体験を得られる起点としてアプリを考えていますが、この普及率はまだまだというところです。年間延べ人数で700〜800万人のお客様がいますから、もっと会員数を増やしていけると考えています。アプリのユーザビリティも改善していきたいと思っていまして、年内にはアップデートをする予定です」

新たな経営戦略を打ち出したBAKE INC.だが、目指すところは“体験価値”の提供ということだという。

「スイーツを通じて、お客様に対してこれまで以上に“体験価値”というものを提供していきたいと考えています。オンライン、オフライン、多種多様なブランドをさまざまなシーン、オケージョンで使っていただく、お客様のライフスタイルに寄り添う会社にしていきたいです。そのベースにあるのは『BAKE INC.のファン』だと思います。体験価値を通じて、ファンになっていただくのが最大の目標です」

ECを基軸としたブランドとして立ち上げたしろいし洋菓子店だが、ポップアップストアの出店を活用しながらより広くブランドを周知していきたいとも考えている。新しい経営戦略とともに、BAKE INC.がどんな魅力的なスイーツを打ち出すのか楽しみだ。

この記事のひときわ #やくにたつ
・ユーザーの動向変化に対応できる方法を考える
・ECサイトの中で目立つために、ストーリー、世界観を利用する
・会社のファンを作っていく

取材・文=西連寺くらら

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