コーヒーで旅する日本/九州編|自分で決めたゴールに向けて動いたからこそ。「GARAGE COFFEE」が宮崎に生む新しいコーヒーカルチャー

東京ウォーカー(全国版)

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自分がやる意義を考えて

現在、宮崎市内に2店舗を展開

福岡暮らしも長かったことから、独立開業に際して、福岡と故郷の宮崎のどちらで店を開くか悩んだという。

「商売的な観点から言えば当然、宮崎よりも福岡のほうが適していますが、自分がコーヒーショップを開く意味を考えたとき、自分自身の原体験から『まだスペシャルティコーヒーに触れたことがない人たちに広める』という大きなテーマがありました。そう考えると、福岡にはスペシャルティコーヒーの名店はたくさんある。逆にその当時、宮崎にはコーヒーショップは少なかったので、宮崎市内で開業することに決めました」

そうやって「GARAGE COFFEE」を開いたのが2017年。宮崎市内の青葉町という地区の物件を選んだが、やや失敗だったと振り返る。

カフェでは基本的にフレンチプレスで抽出

「宮崎駅からもほど近かったのでよい立地かと思ったのですが、完全にリサーチ不足でした。住宅街ではあるのですが、人の往来は少なく、車通りは多すぎて、わざわざ車を停めてコーヒーを飲むという場所でもない。今まで思い立ったら即行動でやってきましたが、そのやり方には相当リスクがあることも学びましたね」と反省を込めて苦笑い。そうやって店を営む中で、2018年に宮崎駅前の目貫通り・あみーろーど沿いに好条件の物件が見つかり、移転。

焙煎についてはほぼ独学で腕を磨いた

これを機にカフェとして軌道に乗り始め、自家焙煎もスタート。そこから杉田さんは自身が理想とするコーヒーの味わいを少しずつ見つけていく。

また飲みたいという体験を大切に

デイリー、ハイグレードなど豆のランクはそれぞれ

現在、豆はブレンド、シングルオリジン合わせて10種程度。シングルオリジンのラインナップを見てみると、ウォッシュドが大半で、ナチュラルが少しという割合。

「僕が考えるコーヒーに大切なことは、飲みやすさに尽きると思います。ユニークなフレーバーを有する発酵系のプロセスの豆もスポットで取り扱いますが、やはり自分も日々飲みたいと感じるのがすっきりと飲みやすいウォッシュドやナチュラル。焙煎に関しては、生豆が本来持っている甘味を引き出すような熱の加え方、火の入れ方を心がけています」

コーヒーの消費額が少ない宮崎だけに、まずは飲みやすい、また飲みたいと思ってもらえるような、コーヒーの入口にぴったりな豆のセレクトというわけだ。

【写真】ゆったりと席を設けた「GARAGE COFFEE ROASTERY」

そんな「GARAGE COFFEE」は2024年6月に2店舗目となる塩路店を開いた。屋号は「GARAGE COFFEE ROASTERY」。文字通り、焙煎所併設の店舗だ。店はロードサイドにぽつんとたたずむ白い外観が目印で、店内も白一色で統一された明るい雰囲気。大きな窓から見える木々の緑、テーブルやベンチ、カウンターなどがゆったりと設けられ、空間を贅沢に用いたレイアウトが印象的だ。

真っ白な外観がシンボリックな「GARAGE COFFEE ROASTERY」

洗練されていながらも、居心地はよく、休日平日問わずカフェ利用が多いというエピソードにも納得。窓の大きさや位置、カウンターの高さ、テーブルの大きさなどはすべてオーナーの杉田さんが手掛けたそうで、いわば「GARAGE COFFEE ROASTERY」こそが杉田さんがずっと作りたかったコーヒーショップの理想形というイメージ。立地も恵まれており、フェニックス・シーガイア・リゾートやフローランテ宮崎といったレジャースポットが広がるエリアで、宮崎市の地元の人たちに加え、県外客の利用も多いという。

ホットコーヒー(680円〜)、エスプレッソプリン(730円)

「GARAGE COFFEE ROASTERY」はコーヒーをはじめ、バスクチーズケーキ(680円)、ガトーショコラ(650円)、バニラとピスタチオのアフォガート(1080円)といったスイーツメニューも準備。ゆったりと流れる空気感に包まれ、コーヒーとスイーツでのんびりカフェ時間を楽しむのがおすすめだ。

杉田さんレコメンドのコーヒーショップは「SHIROUZU COFFEE ROASTER」

「福岡市に2店舗を展開している『SHIROUZU COFFEE ROASTER』さんをおすすめします。僕自身、バリスタの技術を磨いた店で、味わいはもちろん、アートを随所に取り入れた世界観など、オーナーの白水さんの感性を随所に感じられるロースタリーカフェ。今でもリスペクトしています」(杉田さん)

【GARAGE COFFEEのコーヒーデータ】
●焙煎機/フジローヤル1キロ半熱風式
●抽出/フレンチプレス(ボダム)、エスプレッソマシン(ビビエンメ)
●焙煎度合い/浅煎り〜中深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/あり(100グラム1512円〜)


取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

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