見た目は怖いが、平和主義でおおらかなクロサイ。唯一の敵は「人間」!?【会えなくなるかもしれない生き物図鑑】

東京ウォーカー(全国版)

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「シロサイ」は訛りから生まれたネーミングだった

――現在、世界にいるサイは5種。クロサイのほかにシロサイもいるが、実は皮膚が白いわけではなく、目立った色の違いはない。

シロサイもクロサイ同様、灰褐色から灰色で、色に違いはありません。実は「シロサイ」という名前は、誤訳からつけられたそうです。シロサイの口は草を食べるため、掃除機のノズルのように幅が広いのですが、英語で広いを意味する「wide」が訛って「white」になった結果、シロサイ(White Rhinoceros)と名付けられたそう。それに対して、口の幅の狭いクロサイをBlack Rhinocerosと名付けたと言われています。

シロサイとクロサイを比べると、シロサイは前述の口の形状に加えて体がかなり大きく、クロサイのおよそ倍、3トン近くになります。また、家族で生活するので群れを成し、複数頭での飼育が可能です。

一方、クロサイは木の葉を食べます。そのため、木の枝を引き寄せられるよう、口の先がとがっているのが特徴。おちょぼ口みたいで、これがかわいいんですよ。単独生活をすると言われていますが、場所や状況によっては集団で生活する場合もあるという論文も、最近は出ています。皮膚はガサガサして硬く、長時間なでていると指紋がなくなったり、うっかり接触するとすり傷みたいになることも。

木の葉を食べるニコ。口先を伸ばして枝を引き寄せやすいよう、口元は先がとがっている写真提供:広島市安佐動物公園


1日の食事は約30キロ。その倍以上の排泄物を人力で処理

クロサイは体の大きさの割には食べる量が多く、木の葉や乾燥させた牧草、草食獣用の人工飼料などを1日に30キロぐらい食べます。大量に食べるので出す方も多く、水分が加わるので1日に約60~70キロ排泄します。これは人力で片づけるのですが、園内に堆肥庫があり、そこで2次発酵までさせて堆肥化を進めたものを、近くの農家さんに肥料として使ってもらっています。そこの農家でできた野菜などを動物のエサとして納めていただいているので、うまい具合に循環していますね。

なぜそんなに警戒しているの?クロサイは思った以上にセンシティブな生き物

――大量の排泄物を人力で処理するため、腰痛肩こりは飼育員の職業病と言われているそうだ。ほかにもクロサイの飼育には神経を使うことが多い。

クロサイはとてもセンシティブな生き物です。体に似合わずというのは失礼な気もしますが、野生動物なのでいろいろなことに警戒しなければいけないし、実際にいろんなところに注意を払って生きているのだと思います。

ただ、その警戒心が理解できないことも。いったい何に驚いているんだろう?何を気にしているんだろう?と、わからないのがしんどいと感じることもあります。でも、それ以外は楽しく仕事していますね。

飼育係の屋野丸勢津子さん写真提供:広島市安佐動物公園


特に喜びを感じるのは、もう何年も経験していませんが、子供が生まれたとき。園全体が活気づくので、毎日仕事に出るのも楽しく感じます。でも今は、サキ・ヘイルストーン・ニコが毎日おいしくご飯を食べてくれるだけでいいなと思っています。

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