見た目は怖いが、平和主義でおおらかなクロサイ。唯一の敵は「人間」!?【会えなくなるかもしれない生き物図鑑】

東京ウォーカー(全国版)

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野生を身近に感じられる動物園や水族館。動物たちは、癒やしや新たな発見を与えてくれる。だが、そんな動物の中には貴重で希少な存在も。野生での個体数や国内での飼育数が減少し、彼らの姿を直接見られることが当たり前ではない未来がやってくる、とも言われている。

そんな時代が訪れないことを願って、本連載では会えなくなるかもしれない動物たちをクローズアップ。彼らの魅力はもちろん、命をつなぐための取り組みや努力などについて各園館の取材と、NPO birthの久保田潤一さんの監修でお届けする。第8回の今回は、広島市安佐動物公園で12年にわたってクロサイの飼育を担当する屋野丸勢津子さんにお話を聞いた。


10頭を産んだ肝っ玉母さんの娘と、世界最多出産記録をもつクロサイの息子が広島で夫婦に

――2021年に開園50周年を迎えた広島市安佐動物公園。開園当初からクロサイを飼育し、国内最多の繁殖実績を誇る。

10頭もの子供を産み、世界最長寿の52歳まで生きたハナ写真提供:広島市安佐動物公園


開園当初から飼育していたのはオスのクロとメスのハナ。ハナは10頭の子供を出産し、一時期は世界最多出産記録を持っていました。現在、当園にいるメスのサキは、そのハナの仔です。

サンフランシスコ生まれ、ハワイ育ちのヘイルストーン。母は出産世界記録を持つエリー写真提供:広島市安佐動物公園


サキのパートナーのヘイルストーンは、サンフランシスコ生まれのハワイ育ちで、1999年に当園にやってきました。ヘイルストーンというのは、空から降る雹(ひょう)のことです。彼のお母さんは14頭を出産して現在も世界記録を持っているエリー。ヘイルストーンは暖かいところで生まれ育ったせいか、安佐動物公園の冬は嫌いです。当園は山の上にあるため、広島市よりもかなり標高が高く、冬には雪が積もることもあるので、彼には厳しい環境のようで、今、少し体調を崩しているようです。

5歳になったニコ(左)と母親のサキ(右)。体も成獣と遜色ないぐらいに成長し、そろそろお年ごろを迎えるそう写真提供:広島市安佐動物公園


あともう1頭、メスのニコがいます。こちらはヘイルストーンとサキの仔で、2016年生まれ。25年ぶりに広島東洋カープが優勝した年に生まれたので25にちなみ、また、久しぶりに生まれた子供なのでみんなが見てニコニコしてくれるようにとの意味を込めて、市民の方に名付けてもらいました。サキの愛情を一身に受けて天真爛漫すぎるぐらいに育った、元気でやんちゃな女の子です。

堂々たる体躯に成長したニコ写真提供:広島市安佐動物公園

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