コーヒーで旅する日本/九州編|誰もが肩の力を抜いて、のんびり憩える場所に。「ROTARY COFFEE」に緩やかに流れる時間
東京ウォーカー(全国版)
店づくりもコーヒーももっと自由に

5年ほど店を営んできた東さんの中で年々、心境の変化もあるという。
「1年目は初めて自分で店を営む中、当然ですが常に緊張感がありましたね。ただ2年目になると、グーグルマップの口コミやSNS等を見てさまざまな世代のお客さまが来てくださるようになり、そのあたりからもっと自分も自由に楽しみながらお店をやった方がいいなって考えられるようになりました。それはコーヒーも同じかもしれません」
東さんが理想とするコーヒーは余韻の甘さが心地よく続く一杯。いわゆる雑味がなく、冷めてもおいしいコーヒーだ。ただ、それを声を大にして前面にプッシュすることはない。豆売りのプライスカードにそれぞれの豆が持っている特徴的なフレーバーや甘さの質は書いているものの、あくまで好みの味わいを見つける参考になれば程度だ。このあたりもいい意味で力が抜けて、押し付けない東さんらしいスタンス。

豆の種類は2024年9月現在、パルブドナチュラルのブラジル、ハニープロセスのエチオピア、中煎りのサンセットブレンド、深煎りのロータリーブレンド、それにデカフェを加えた全5種のラインナップ。ここ数年人気の発酵感を生み出すプロセスなど、際立って個性的なコーヒーを扱うことはほぼなく、日常的に飲める味わいを大切にしている。
みんなが心地いい場所になれたら

「ROTARY COFFEE」から車で5分ほどの場所に、2022年11月にオープンした「LOBBY by ROTARY COFFEE」がある。コーヒーとスイーツはもちろん、月替わりプレートランチ、手作りソーセージのホットドッグプレート、日替わりサラダランチなど食事利用がメインの店。“みんなが心地いいカフェ”をコンセプトに掲げ、小さな子ども連れでも利用しやすい座敷席やキッズチェアを準備しているほか、オムツ替えスペースもあったり、赤ちゃんと一緒でもおいしいランチやコーヒー、スイーツを楽しめる。これもまた東さんの環境の変化から新たに生まれたスタイルだ。

「僕自身、スペシャルティコーヒーの店を開いてから子どもが生まれたこともあり、“こんなカフェがあったらいいな”を形にしたのが『LOBBY』。『ROTARY COFFEE』を開いた当時は、熊本にもっとスペシャルティコーヒーが飲める店を増やしたい、もっと多くの人に飲んでもらいたいという強い思いがありましたが、今はそのときほどの強い意思みたいなものはなくて。なんとなく、もっと自由に誰もが心地よく過ごせる場所であれたらいいなぐらい」と笑顔で話す東さん。まさに、最初に感じたどんなシーンでも使いやすそうというイメージ通りの店になっている。このゆるいスタンス、穏やかな空気感こそが『ROTARY COFFEE』の一番の魅力だろう。
東さんレコメンドのコーヒーショップは「H_NNTO COFFEE(ホントコーヒー)」
「熊本県南阿蘇村にある『H_NNTO COFFEE(ホントコーヒー)』。もともと福岡で一緒に働いていた河津くんが2024年春に開いたばかりのお店。店があるのは温泉旅館の敷地内という、コーヒーショップではなかなかないロケーション。阿蘇の牛乳など、地元の素材にこだわっていて、そこでしか味わえないものも多いと思います」(東さん)
【ROTARY COFFEEのコーヒーデータ】
●焙煎機/Aillio Bullet R1 V2
●抽出/エスプレッソマシン(LA MARZOCCO Linea PB-2)、ハンドドリップ(Kalita ウェーブドリッパー)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/200グラム1800円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
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