数カ月間飲まず食わずで子育てするホッキョクグマ。40年ぶりに誕生した赤ちゃんや、飼育について聞いてみた【会えなくなるかもしれない生き物図鑑】

東京ウォーカー(全国版)

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立ち上がれば3メートルにもなる、地上最大の肉食獣。でも赤ちゃんはわずか500グラム

――地上最大の肉食動物と言われるホッキョクグマ。その大きさはどのぐらいだろうか。

「ベルクマンの法則」といって「恒温動物においては、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」という法則があります。クマもその例に違わず、東南アジアなどに生息するマレーグマや日本の本州に棲むツキノワグマは体が小さいのですが、北海道のヒグマは大きいというように、北に行くほど体が大きくなるので、カナダやロシアに棲むホッキョクグマは最大と言われています。

体重は平均400キロぐらい、野生の個体では最大800キロぐらいの体重になります。さすがに動物園で800キロという巨体は見たことがありませんが、それでもかなり大きく、立ち上がると3メートルくらい。メスでも2メートル以上に達します。

ちなみに仔グマのゆめは、誕生時にはわずか500グラム程度。200キロのピリカの1/400程度の体重で、人間に換算すると超未熟児のような状態です。最初は健康状態もとても不安定でしたが、4月時点で体重は15キロ、体長も80センチ程度にまで成長しています。休み明けに見ると少し大きくなったのが分かるぐらいのスピードで成長していました。

仔グマは大体2~3年程度親と一緒に過ごし、その後は親離れしていきます。なお動物園では、親離れする前に親子を分けてしまいます。飼育スペースの問題だけでなく、分けないと親が子供を殺してしまう場合もあり得るからです。また、そこまで成長する前に子供が他園にもらわれていけば、親個体の再繁殖を期待することもできます。

エサの量は1日約10キロ。動物園の中ではエサ代NO.1!?

――平均400キロという大きな体を維持するためにはエサも大切だ。どのようなエサを与え、どのように健康管理をしているのだろうか。

メスのルル。ピリカよりもずいぶんお姉さんだ写真提供:旭川市 旭山動物園


動物園では馬肉やシカ肉に加え、オオナゴ、ホッケなどの魚をカロリー計算をして与えています。肉だけではなく、白菜やニンジンといった野菜、そのほかクマ用の人工フードなども合わせて、オスなら1日10キロくらい、メスで6キロくらい食べますね。動物園の中では一番エサ代が高いかもしれません。

健康状態は、痩せているか太っているかを確認します。体重は測れないので、腰骨の浮き具合やお腹の出具合で判断します。ただ、冬毛だと丸々として見えるので、夏毛になった時に思ったより痩せているということもあります。その点の判断は、なかなか難しいですね。

野生下のホッキョクグマは、北極周辺の植物の少ない環境にいるので、ほかのクマよりも肉食性が高く、主にアザラシ食べています。アザラシを襲うときは流氷の上で待ち伏せします。泳ぎはアザラシの方が得意なので、アザラシが息継ぎをする瞬間を狙って襲撃するのです。

当園では冬場、雪が積もり気温もマイナス20度ぐらいになりますが、そんな中でもホッキョクグマは平気で遊びます。プールで泳いでびしょぬれになって上がってきたら、流氷のようなカチカチの氷の上で生活。こんな風に野生に近い姿を見せてくれるのは、旭山動物園ならではですね。お客さんも野生の姿を想像しやすいのではないでしょうか。真夏の暑い時はプールに半身浴みたいに浸かったりして、自分なりに涼んでいます。

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