コーヒーで旅する日本/九州編|20年以上培ってきたすべてが糧に。世界一という大きな夢のために歩み続ける「ROASTERY MANLY COFFEE」

九州ウォーカー

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全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。
なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

【写真】平尾の長屋街、通称「平尾村」内に店を構える

九州編の第41回は、福岡市平尾にある「ROASTERY MANLY COFFEE」。もともと屋号は「MANLY COFFEE」のみだったが、2021年11月に“ROASTERY”を冠すようになった。オーナーの須永紀子さんは福岡のコーヒーシーンを変えた立役者の一人であり、エアロプレスを全国に広めた人。福岡のコーヒー業界において、須永さんのことを知らない人はほぼいないというぐらいの有名人だ。そんなすごい人なのだが、常に笑顔で、だれにでも平等に接し、いつ会っても朗らか。そんな須永さんが「第3のステージ」と語る、「ROASTERY MANLY COFFEE」の“今”に迫る。

オーナー兼ロースターの須永紀子さん

Profile|須永紀子(すなが・のりこ)
1974(昭和49)年、福岡県生まれ。祖父母、両親が敬虔なクリスチャンで、自身も中学から高校までを修道院で暮らす。短大進学を経て、海外を見てみたいとオーストラリアにワーキングホリデー制度を利用し、渡航。帰国後、カフェを開きたいと、コーヒーの勉強を始め、26歳でスターバックスにてアルバイトを始める。スターバックスの社内コンテストで2代目コーヒーアンバサダーとなる。スターバックス卒業後、パティスリーやハンバーガーのチェーン店にも勤務したが、「私にはコーヒーしかない」との意思を強くし、2008年、「MANLY COFFEE」をオープン。2021年、屋号を「ROASTERY MANLY COFFEE」に改名し、リニューアル。

福岡のコーヒーシーンを変えるきっかけに

屋号のMANLYはワーキングホリデーで暮らしたシドニーのマンリービーチから命名

2007(平成19)年に発足したCOF-FUKというグループがある。福岡をコーヒーの街にしようという思いを胸に立ち上がったグループで、日本人で初めて焙煎士として世界一を獲得した 豆香洞コーヒー の後藤さん、日本随一のバリスタであるREC COFFEEの岩瀬さんや北添さん、世界的なテイスティングの名手の 珈琲蘭館 の田原さんなど、今や福岡を代表するコーヒーショップを中心としたメンバーで構成。その立ち上げにはmanucoffeeのオーナー・西岡さん、コーヒーを柱としたさまざまなイベントを企画・運営するClick Coffee Worksの古賀さん、そして「ROASTERY MANLY COFFEE」の須永さんらが深く関わった。

須永さんのコーヒーの本格的な入口はスターバックス

もともと須永さんは、26歳の時にスターバックスでアルバイトを始め、スキルや知識、サービスを競い合う社内コンテストで日本一の証でもあるコーヒーアンバサダーにまで上り詰めた。その当時を須永さんはこう振り返る。
「コーヒーに興味を持ったのは、カフェカルチャーに惹かれたのがきっかけです。カフェで働きたいと思っていたのですが、その時期すでに子どもが1人いて、土日勤務が多い飲食店で働くのが難しかったんです。ただ、なにかにハマるともっと知りたい、もっと上手にやりたいと思うタイプで、警固の焙煎屋さんに通ってさまざまなことを教えていただきました。その頃、スターバックスの福岡店がオープンし、コーヒーへの興味からスターバックスにアルバイトとして入りました。働き始めてみると、不思議なんですが、知識はどんどん吸収できるし、次々と新しい扉が開いて、日々成長していることを自分でも感じられたんです。だから仕事も毎日楽しくて、気が付いたらコーヒーアンバサダーになることができた、という感じでしたね」。

コーヒーアンバサダーとなった褒章として、アメリカ・シアトルにあるスターバックスの本社にも足を運び、その当時のCEOとも直接話すことが叶った。
「CEOのシュルツ氏に、『あなたはもっと大きな夢を持つべきだ』と言われたことが、『MANLY COFFEE』を立ち上げるきっかけにもなりました。シュルツ氏からいただいた言葉は今に至るまで、ずっと私の原動力になっています」。

開業時から目標に掲げた世界一

2016年、小笹のアパートから平尾に移転する時に書いた目標

2008(平成20)年、小笹で開業した「MANLY COFFEE」。最初はフジローヤルの1キロ窯から焙煎を始め、しかも住宅街にたたずむ古アパートの1室となかなかの隠れ家的な立地。規模は小さかったが、須永さんはその頃から大きな夢を抱いていた。それが「世界一のコーヒー屋になる」。
「私は夢を叶えるためには、自分の言葉で発信していくべきだと、今までの経験から信じています。文字に書き起こすことも習慣化していて、移転に際してこんなものを書いたんです」と見せてくれたのは、「2028年までに世界一になる」「WOW!なコーヒー AMAZING!なサービス 涙がでてくるお店」と書かれた一枚の紙。よく見ると、それらが書き留められた大きな紙はカレンダーの裏紙。考えたことを即行動に移す須永さんらしい。

ここ数年人気が高いMILK BREW。コーヒーを水ではなく、牛乳に浸けて抽出。佐賀県嬉野市の酪農家との出会いによって生まれた

須永さんは「2028年と書いているところは、実は後から書き足したんです。最初は移転した2年後を目標とし、2018年としていました。開業した時から世界を見据え、とにかく動かないといけないという思いから、北欧のロースターの勉強会に参加したり、英語もろくにわからないのにWBC(ワールドバリスタチャンピオンシップ)のボランティアスタッフに応募したり、とにかくじっとはしていませんでしたね」と当時を振り返る。
その当時、すでに子どもがいて、「MANLY COFFEE」を営みながら、世界中を飛び回るバイタリティとひたむきさ。須永さんのストロングポイントはまさに、これだ。日本人は往々にして出しゃばることを遠慮しがちだが、須永さんは違う。とにかく前に進む。経験不足であっても、スキルがなくても、チャレンジする。もちろん、結果は常に満点ではないが、このチャレンジが須永さんにさまざまな人の縁や、チャンスを与えてきた。

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