コーヒーで旅する日本/九州編|まじめにコツコツ、自分のペースで。「自家焙煎珈琲 萌香」が19年にわたり愛される理由
九州ウォーカー
自分で悩み、出した答えを信じて

帆足さんは19年間ずっと、自分なりの焙煎・抽出の正解を探してきた人。一方で、同業者との繋がりをとても大切にしてきた。
珈琲蘭館
の田原さんとは帆足さんが自家焙煎を始める前からの顔見知りで、さらに
豆香洞コーヒー
の後藤さんとも2008(平成20)年の開業当時から親交がある。おもしろいのが今では大の仲良しの田原さんと後藤さんを繋いだのは帆足さんで、さらに言うと珈琲美美の故・森光さんを中心に活動していた日本コーヒー文化学会九州支部に加入したのも帆足さんが早かった。それらの流れから、帆足さん自身も福岡のコーヒーシーンの底上げの一助となったグループ「COF-FUK」の勉強会に参加するなど、福岡のコーヒーを語る上では欠かせない人、グループ、活動に深く関わってきた。

そうやってさまざまな機会でコーヒーに触れ、自身も焙煎士、バリスタとして店に立ち、コーヒーと向き合ってきた帆足さん。周りには競技会に参加し、国内大会1位、世界大会でも優秀な成績を残す人がたくさんいた中で、帆足さんは競技会には目を向けなかった。それはなぜなのか。
「競技会に参加することで得る学びは大いにあると思います。ただ、逆を言うと、多くの情報を得すぎて、自分が持っているコーヒーの柱がブレてしまう可能性もあると思うんです。私は自分なりにコーヒーを突き詰めてきましたが、まだまだやり尽くせていないことはたくさんあります。自分で悩みながら、時にほかの店のコーヒーと比較しながら、私は自分のコーヒーの正解を見つけていきたい」と帆足さん。

帆足さんが焙煎した豆は後味がとても良い。表現するなら豆の個性はしっかり感じられつつも、ほのかな余韻と甘さを残しながら、スッと消えていく感じだろうか。そしてなによりバランス感に優れている。「私自身、毎日家でコーヒーを飲みます。ですから、1杯飲んだあとに、もうちょっと飲みたいなって感じられるような味わいが理想」と帆足さん。

喫茶店開業を機に一時はやめていた武術、空道を6年ほど前に再開したという。「ずっと店に立ち続けたいので、体を鍛える意味でも道場に通っています。体力は6年前より今の方がバリバリありますよ」と笑う帆足さん。ぜひ、いつまでもプレイヤーとして「自家焙煎珈琲 萌香」でおいしいコーヒーを作り続けてほしいと切に願う。
帆足さんレコメンドのコーヒーショップは「TOMOMO COFFEE」
「福岡県久留米市に店舗兼焙煎所を構える『TOMOMO COFFEE』。長年、コーヒーにまじめに向き合っておられて、特に深煎りのコーヒーには店主の深町さんらしさがよく表れていると思います。明るく、サバサバとした深町さんの人柄もステキで、私も子供を連れてちょこちょこ遊びに行ってますよ」 (帆足さん)
【自家焙煎珈琲 萌香のコーヒーデータ】
●焙煎機/PROBAT LG5
●抽出/ハンドドリップ(HARIO V60)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム600円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)
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