コーヒーで旅する日本/九州編|主役にも脇役にもなれるコーヒーだから。柔軟に自分たちに合ったやり方で歩む。「fasola」
東京ウォーカー(全国版)
コーヒーがちょっとした幸せに

そんな「fasola」のコーヒーは自家焙煎の豆3種をメインに、全国各地のロースターから取り寄せるゲストビーンズ1種を常時用意。自家焙煎のコーヒーは浅煎りがメインで、優しい甘さを引き出すような焙煎を心がけているという。志織さんは「奇をてらわず、日常に溶け込む味わいを大切にしていますが、どこかにキラッと光る何かを感じていただけたらうれしいです。お客さまにとって普段とちょっと違う入浴剤、アロマキャンドルのような存在のコーヒーでいられたら」と微笑む。日常のちょっとした幸せ、特別な時間を彩るコーヒー。志織さん自身が、昔からそうやってコーヒーに癒やされ、日常に取り入れてきたからこその考え方だろう。

そして、志織さん自身がコーヒーを楽しんでいる、さらなる新しい可能性を見つけようとしている証の一つだと感じるのがゲストビーンズを用意していることだ。約2カ月に1回のスパンでロースターを変えており、東京や大阪など、九州では普段なかなか口にすることがない店の豆を選んでいるそう。

「今はCOFFEE BLUEさんの焙煎機をお借りすることができ、自家焙煎豆の種類が多くなっていますが、開業当初は仕入れた豆がメインでした。その流れで今もゲストビーンズを提供しているのですが、その大きな理由はお客さまにいろいろなコーヒーを楽しんでいただきたいから。また私自身、多くのコーヒーファンを魅了している話題のロースタリーがどう焙煎をして、どんな味わいを表現しているかに積極的に触れていきたいという考えもあります」
できるだけ自分たちの手で

オープンして2024年8月でちょうど丸1年を経て、近隣に暮らす人々に親しまれている「fasola」。当然コーヒーだけじゃなく、優也さんが腕を振るう料理を目当てに訪れる常連もいる。優也さんは自家でおこした天然酵母で生地を発酵させて焼き上げるカンパーニュ、肉をミンチにするところから手作りするサルシッチャなど、作れるものはできる限り自分で手掛けたいという職人気質の料理人。一品一品に丁寧な仕事を感じられ、オリジナリティも随所に光る。

そんなこだわりの料理とナチュールワインを満喫したあとに、おいしいコーヒーで〆るという「fasola」ならではの楽しみ方。料理もワインも、最後のコーヒーまで満足させてくれるレストランに出合う機会はそう多くはないだろう。それぞれに違う世界で研鑽を積んできた志織さん、優也さん夫妻だからこそ形にできた料理・コーヒー・ワインの3者が主役の店。さまざまなシーンにマッチするコーヒーの新たな可能性を感じられる一店だ。
志織さんレコメンドのコーヒーショップは「Coffeedot」
「熊本市にある『Coffeedot』のマネージャー・勝本さんは前職のときから繋がりがあり、時々店を行き来する仲。勝本さんは本当に勉強熱心で、産地のことやプロセスのことなど、コーヒーに関わる新しい情報やマニアックなネタまでよく知っているんです」(志織さん)
【fasolaのコーヒーデータ】
●焙煎機/coffed 3キロロースター(COFFEE BLUE)
●抽出/ハンドドリップ(Kalitaウェーブ)、エスプレッソマシン(ラ・マルゾッコ Linea mini)
●焙煎度合い/浅煎り〜中煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/150グラム1700円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
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